先日、実家に帰ったときのことです。
母は数年前から血圧が高いことが増え「塩分に気を付けているんよ」と、
口にしていました。
ところが食卓を見わたすと、梅干しの瓶がそのまま置かれ、
その隣にはタッパーに入った漬け物がドンと鎮座している。
卓上には醤油差しも出ています。
「これは、減塩できる環境じゃないよね」と。私は正直思いました。
気をつけているつもりでも、手を伸ばせば届くところに塩分があると、
人はごく自然に使ってしまいます。意志が弱いわけではありません。
だからこそ、減塩を始めるときにまずやるべきなのは、
「我慢すること」ではなく「環境を整えること」なのでは。そのように考えました。
意志に頼らない

減塩というと、「醤油をかけるのを我慢する」「しょっぱいものを控える」といった、
気合いの話になりがちです。
でも、我慢は疲れます。疲れることは続きません。
一方で環境は、一度整えてしまえば毎日効果が続きます。
例えば、醤油差しをしまうという行為は、たった1回で済みます。
でもその効果は、明日も明後日も続いていくのです。
減塩は、根性ではなく仕組みで進めるほうがずっとラクです。
まずは食卓の上から

いちばん手をつけやすいのが、目の前の食卓です。
環境を変えるアクションを4つ紹介します。
醤油や塩を出しっぱなしにしない

醤油差しや卓上の塩をしまうだけで、
使うのに「立つ」「開ける」というワンアクションが必要になります。
このひと手間が、意外なほど効きます。
食卓の主役を入れ替える

とはいえ、何も出ていないのは寂しいものですよね。
そこでおすすめなのが、食塩を含まない調味料を代わりに並べておくことです。
・七味唐辛子・カレー粉
・ハーブ類
「食卓から取り上げる」のではなく「入れ替える」と考えると、
気持ちも前向きになります。

醤油差しをスプレー式・プッシュ式に替える

いやいや、醤油は卓上にないと困るという方もいるかもしれません。
そんなときは、スプレー式・プッシュ式の醤油差しへ替えるのもひとつです。
1回に少量のみ出るので、自然と使う量をコントロールできます。

瓶やタッパーごと出さない

梅干しも漬け物も、容器ごと食卓に置くと、つい2個目に手が伸びます。
そこでやることは、小皿に数切れだけ取り分けて出す。
誘惑に弱い方はとくにおすすめしたい方法です。
汁椀を一回り小さくする

ダイエットしている方が茶わんのサイズを小さくするように、
減塩を意識している方は、
汁椀のサイズを小さいものにするのも有効です。
自然と、容器に入る汁の量を減らすことができます。
他にもある「環境を整える」こと
一番重要なのは、先ほど紹介した食卓での4つのアクションです。
それ以外でも、減塩生活を整えるための方法はどんなことがあるでしょうか。
調理するときに、「計る」ものを近くに

減塩を意識している方なら、
調理するときに
✓ 計量スプーン
✓ スケール
✓ 塩分濃度計
などを使用している方は多いと思います。
それらの道具を、すぐに使える場所に置いておくことも大切です。

血圧計は、すぐに使える「定位置に」

血圧が気になっている方は、
ご自身がよく座るリビングなどの定位置に血圧計を置くのがおすすめです。
ついつい、朝バタバタして、血圧を計り損ねることありませんか?
やはり、家庭での血圧測定は大切です。
一緒にノートやカレンダーも置いておくと、
記録するのも簡単になりますね◎
いちばん難しいのは、家族への伝え方
実家の食卓を整えたいと思っても、それを親にどう伝えるか。
ここでつまずく人はとても多いはずです。
私自身もその一人です。
提案方法をいくつか紹介します。
否定ではなく、さりげなく提案する

✕「梅干しは塩分多いから出さないで」
○「この梅干しおいしそうね。ちょっとだけ、小皿でもらっていい?」
そう言って、必要な分だけを小皿に出し、残りは冷蔵庫へしまう。
同居しているときは、この方法はとても有効です。
自分の話として持ち出す

✕「お母さん、塩分摂りすぎだよ」
○「私も健康診断で言われてさ。醤油をスプレーに替えたら、意外と快適だよ」
相手を否定するのではなく、自分の体験として話す。
前向きに考えるきっかけとなります。
お土産として手渡す

帰省のときの手土産を、こんなふうに選んでみるのはどうでしょう。
- スプレー式・プッシュ式の醤油差し
- 少し良いだしパック、柚子胡椒、香りのいい七味
「使ってみて」ではなく「これ良かったから、お土産ね」。
押しつけにならず、相手も嫌に感じません。
これまでを否定しない

漬け物も梅干しも、その家の食卓を長く支えてきたものです。
それを「体に悪いもの」として完全否定するのは、
作ってきた人にとってはさみしいことです。
やめるのではなく、量と頻度を整えるだけ。
そのように伝えると、相手も納得しやすくなります。
最後は相手に決めてもらう

助言をいろいろとしても、結局どうするかは相手次第。
自分自身で決めたことは続けやすいですが、
ただやれと言われたことを継続するのは難しい。
相手の人生は、相手が決めることです。
できる限り応援や助言はできますが、最終的な判断は相手に任せます。

おわりに
醤油差しをしまう。七味を出す。
小皿に取り分ける。血圧計を見えるところに置く。
ひとつひとつは、小さなことです。
でもその小さな変化が積み重なって、毎日の食卓を静かに変えていきます。
減塩生活は我慢をすることではないと私自身は思っています。
自分にできることは何かな?と考えて、
親との関わり方も考えていきたいと思います。
なお、高齢の方の場合は、
極端な減塩がかえって食欲の低下や低栄養につながることもあります。
持病や服薬中のお薬がある方は、必ず医師や管理栄養士に相談しながら進めてくださいね。
無理なく、続けられるペースで。




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